大学受験で挫折?! そして就職は?!

僕が十歳の時に母、二十歳で父を亡くして、超苦労の人生を余儀なくされました。
母の病気を治したいという思いから僕は子供の頃から医者になろうと決めていて、東大の医学部を狙っていたんです。それと、当時近所に好きな女の子がいて、その子に見せる英数国の順位表を上げたいという、邪だけれど純粋な動機もありました。そして一生懸命勉強して東京大学を受験したんですが、二度失敗し、これ以上浪人はできないけれど、一流大学は他に受けていない。その時点で入試が残っていたのが新設校の国際商科大学でした。
もう自分の人生終わったと思いました。しかし僕はそこで「東大に落ちてもすごいところを見せたい」と奮起し、世界で活躍するインターナショナル・ビジネスマンになろうと志し、大学で商業英語と貿易を学びました。
卒業後は、その頃にテープレコーダー用の三桁カウンターの分野で世界一だった田村電機製作所に就職しました。
実は大手企業にも就職の口はあったんですが、同じ能力があっても大手では学閥で負けるかもしれない。それなら、自分の実力が認められる企業に行こうと田村電機製作所を選びました。
最初は国内営業でしたが、しばらくして海外営業を担当することになり、インド、イスラエル、韓国と、入社したばかりで普通では経験できない環境でした。当時はまだ英語も十分できなかったので、相手に意思を伝えるために身振り手振り、もう身体全体で一生懸命に表現しました。そうしているうちに、だんだん英語もできるようになり、相手も「あいつ面白いやつだ」と気が合うようになって、「この製品なら富田に頼めば大丈夫」というように、海外の人達からも高く評価してもらえるようになったんです。